2006年10月25日

Yae『flowing to the sky』

 「古くから伝わる物語や民謡」をテーマにしたコンセプトアルバム。らしい。トラッドを交え全9曲。素朴な曲もあればプログレっぽいものもあるけど、不思議とバラバラな感じはしません。

 ゆるゆると伸びる声がとにかく気持ちいいです。全く力が入っていない(除くtrack4)し、ヴォーカルスタイルに特に際だった特徴があるわけでもないのに、何だろうこの存在感。おそらくフルオーケストラの中でも埋没しないと思う。クリスタルヴォイスとは別に、こういう静かに低く響く声も好きなのよ実は。歌詞なしのtrack6では、その声が一番堪能できるように思います。

 アレンジは、ギターやバイオリンに混じってマリンバやビブラフォン、果てはオタケビ(笑)まで多彩な楽器が少しずつ登場。1曲1曲は少数編成で、しかし演奏はいろいろ趣向を凝らしているというか。track1のアコーディオンにピアノやギターが折り重なっていく様は特に印象的です。

 無国籍トラッド、というのかな。エスニックとは違う、しかしどこか異国を思わせる雰囲気。試聴なしがつらいんですが、こういうヴォーカルやトラッドに興味あったらぜひ。

yaenet (アーティスト公式)
posted by 築城 at 06:02| トラッド

2006年09月17日

上野洋子『SSS Simply Sing Songs』

 アイルランドやスコットランドの伝統曲をカバー。オリジナル曲2曲を含む。
 アルバムタイトル通りごくごくシンプルで、お得意の多重コーラスはほとんどなし。楽器も含め、極力音数を少なくしている印象。「得意技」をあえて禁じ手にしてやってみたかったのかなーと勝手な想像。
 その分、多彩なヴォーカルが堪能できます。しっとり染み入るような声もあれば、幼女のような愛らしい声もあり……ファンなら、普段トラッドを聴かない人でも楽しめるのでは。かくいう私も、収録曲の中で知っている曲は一つだけだし(爆)
 またオリジナル曲も美しく、個人的にはtrack3だけでもCD買った甲斐があったかも。
 それに、極力入れないようにしているとはいえ、やっぱり端々にコーラス(track4,track9-2)が。またアレンジも、フィドル(クレジットには「バイオリン」とあったけど)やホイッスルでアイリッシュの雰囲気満点の曲もあれば、ブルースのようなギターアレンジ(track2)、ハープに乾いた機械音?が不思議とマッチしてもの悲しいアレンジ(track10)なんかもあり、相変わらずやってくれるなーという感じ。
 『Puzzle』のような派手なコーラスワークを期待する人には向かないかな。歌姫の美声、そして地味ながらひと味違うアレンジを楽しめるアルバムだと思います。

uenoyoko (アーティスト公式)
posted by 築城 at 22:35| トラッド

Vita Nova『Vita Nova Remix by RAM3200』

 『Ancient Flower』『Laulu』の曲を自らリミックス。といいながらオリジナルっぽい曲も一部混じってそうな。
 アコースティック中心の原曲を、すっかりシンセ一色に染めています。Vita Novaなのにリコーダーの音がないよ(笑) ヴォーカルそのままにアレンジを変えた程度から、全パートをバラして再構成したものまで、リミックス具合はいろいろ。曲によっては、ヴォーカルすらパーツになってます。原曲のようなコーラスものや古楽インストを想像していると違和感あり。
 シンセ、テクノというと、Vita Novaではこの後に出てくる『SUZURO』がそうですが、それともまた違う。あっちはいわゆる歌ものになっているけど、こっちは本当に、ヘタするとインプロ(即興)?というぐらい自由に声や音をちりばめている。全体的に浮遊感のある曲調が心地よし。アンビエントとか好きな人にいいかも。
 以下個人的な経験。『Ancient Flower』『Laulu』を立て続けに聴いて、その流れでこのアルバムを聴いたもんだから、アコースティックじゃない、古楽じゃない、と違和感ありまくりでしばらく放置。でもしばらくたって聴いてみたらかなりいい。Vita Novaを意識せず聴けばよかったんだなと。
 そういえば、リミックスしたのは「RAM3200」とある。ほとんど吉野裕司本人とはいえ、わざわざ名義をかえたのはそういうことなのかも。と今さらながら思った。

Studio RAM (アーティスト公式)
posted by 築城 at 22:35| トラッド